1:捕獲場所の選定
次の4点が揃っているところがオススメ。
・樹木が多いところ(幼虫は樹木の根から養分を取るため)
・足元にセミ孔が多い場所(これからも出てくる可能性が高い)
・足場がフラットで、安全に探索できるところ
・雑草が少ないところ(裸の地面のほうがセミ孔を見つけやすい)
Tips: ちなみに広い公園などで散策する際は、スピーカーなどで集合地点に曲をかけて「この曲が聴こえる範囲から出ないこと」を周知すると迷子防止になるらしい。音を嫌うバードウォッチングなどには向かなそうだが、昆虫観察なら有効。
2:捕獲できる時期
日程:8月初週頃(アブラゼミの声が大きくなってきたころ)
時間:15時~18時頃
14時頃だと、セミ孔の一番奥で待機していることが多いように感じる。17時以降だと一部は羽化をすでに開始してしまう。
Tips: 懐中電灯を持参しよう! 遅い時間になるほど捕獲が容易になるが、完全に暗いと足元が見えず危険だ。
3:発見方法
主に3つの方法がある。
1・セミ孔の中を懐中電灯などで照らし、幼虫が目視できたら掘り返す。人海戦術が有効。
Tips: 他の昆虫も観察してみよう! 幼虫がいなくなった後のセミ孔はコオロギなどが仮の宿にしたり、ナメクジなどが入り込んでいることも多い。
2・セミ孔から幼虫が自主的に地表に出てくるのを待つ。17時以降がねらい目。
Tips: 同じ場所を何度も確認しよう。幼虫はセミ孔から出てきた後、数分で高いところまで登ってしまうので難易度が高い。
Tips: 遅い時間に捕まえた幼虫は、いつ羽化をはじめるかわからない。家が近い場合以外は、持ち帰りを断念したほうが良い。
3・セミ孔に水を注ぎ、溺れた幼虫が地表に出てくるのを狙う方法もあるらしい。こちらは未実践。
4:捕獲方法
捕獲の際は、幼虫を傷つけないようそっと触れること。特に羽部分には触らないようにする。
Tips: 未就学児は掴む力加減が雑なことが多いので、「つかまない、幼虫に自主的に手に登ってもらう」ように指導する。
5:羽化場所の選定
幼虫は高くに登ってから羽化をする。持ち帰ったら、網戸などの捕まりやすく高さのある足場に置くと良い。
Tips: 観察に適さないほど高くのぼってしまいそうなときは、再度捕獲して一番下に捕まらせるのが良い(賽の河原みたいですね)
6:羽化の観察
一度羽化をはじめると、場所を移動することはない。室内灯がついている明るい環境でも問題なく羽化を観察できる。
羽化が失敗しないよう、あまり風を当てず、揺らさないようにする。
Tips: 羽化の様子を写真やタイムラプス動画で撮影してみよう! 子どもが途中で寝てしまったとき、後々「昨日こうだった」と伝えられるようにすると良い。
Tips: 確実に羽化を観察したい場合は、2~3匹を捕獲しよう! 体感では20匹に1匹は羽化に失敗する。理由は「幼虫のときから脚がなかった」「羽化途中での落下」など様々。
7:羽化直後
羽化直後の体色が緑色のときは羽が乾ききっていない。うかつに触らないように注意する。
Tips: 甲羅の一部が凹んだ野生のカブトムシを見た人も多いだろう。あんなに硬いカブトムシですら凹んでしまうくらい、羽化直後の昆虫は脆弱。
8:羽化した翌朝
羽化に成功した場合、翌朝には元気なアブラゼミが家の中を飛び回っている。感動の瞬間だ。
観察した後は逃がしてあげよう。
Tips: 早朝だとまだおとなしくカーテンに捕まっていることも多いため、飛び回るのが嫌な場合は早起きして捕獲しよう。
Tips: 羽化したセミの飼育は避けよう。アブラゼミの成虫が7日間しか生きないのは飼育下の話であり、樹木から水分を摂取できる野生環境ではそれ以上生きる。また、セミは生態系にとって重要な生物である。
Tips: 成虫は、周りを完全に暗くすると比較的静かになる。都内でオスのセミを捕まえてしまった場合などは、羽が破損しないようにティッシュで包んで不透明の眼鏡ケースなどに入れると静かに持ち歩ける。
最後に
場所によってはうまく捕まえられない可能性もある。逆に運が良ければ、シーズン中の18時頃に公園に散歩に出かけるだけで羽化を何体も観察することができると思います。探す過程も含めて、ぜひ楽しんでください。