J. C. ライエンデッカーの関連書籍メモ

J-C-Leyendecker

数ヶ月前から、J.C.ライエンデッカー(以下JCL)とチャールズ・ビーチの関係が気になりだし、ちょっとした調べ物を続けています。その調べ物中に読んだ本を下記に記します。増え次第追記していきます。

📕マークは英語、📙マークは日本語です。

 

J.C.ライエンデッカーについて知る

📕📙『J.C.Leyendecker』Laurence S. Cutler & Judy Goffman Cutler & The National Museum of American Illustration著, 2008 及び 上記邦訳『アート オブ J.C.ライエンデッカー』2016

JCLについて知る上でのマストアイテム、総まとめ本とも言えます。長らく唯一の体系的なJCLまとめであったSchau著にある間違い(チャールズ・ビーチとJCLが出会った年など)が訂正されており、独自の研究(アドルフ・ライエンデッカーの存在など)が追加されています。邦訳も出ていて手に入りやすい! これだけ読んでおけばJCLのコアはバッチリです。

見つけた間違い;151 West 54Thのアトリエ階下にあったのはテキサスの別のクラブ『300 Club』、年表と本文でボザールビルへの引っ越し年が違う。同じく年表と本文(フランクの特集ページ)でフランクの誕生年が違う。あとニール・ハミルトンのターザン映画の公開年が違う?

アクセス:Amazon図書館にもあります

📕『J .C.Leyendecker』Michael Schau著, 1974 (絶版)

色々な一次資料(特にモデルとなった人々)に取材した成果が書かれており、分量的にはすぐに読み終わってしまうものの満足度は高いです。貴重なJCL資料である『My Life as an Illustrator』について、ロックウェルの記述に見られる多くの矛盾(JCLは隠居生活ではなかったのでは? など)にツッコミを入れています。ちなみに上記の151Westのアトリエについてはこれには書かれていません。

アクセス:古本

📕『The Saturday Evening Post』 15 October 1938, [Keeping Posted]

JCL本人が語ったとされる本人の半生です。下記の2記事の出生部分はほぼこの記事の引き写しとなります。Cutler, Schauどちらも引用しているので、そちらを読めていれば優先度は高くないです。ただJCL存命中の記事なので、読んでると感慨深いです。

アクセス:SEPにサブスク

📕『The Saturday Evening Post』May-June 1973, [Leyendecker; Sunlight and Stone] David Rowland著

良い記事ですし、読んでて楽しいです。フィッツジェラルドの下りを読む限り、この記事はSchauも著作の参考にしているようです。あとチャールズ・ビーチがJCLを「Joe」と読んでいたことが判明します。JCLとフランクの年の差が間違っている。

アクセス:SEPにサブスク

📕『The Saturday Evening Post』October 1981, [Norman Rockwells Idol] 

ほとんど73年の記事と同じ内容です。

アクセス:SEPにサブスク

📕『The Human Figure』J. H. Vanderpoel著, 1958

JCLの絵の先生をしていた方が書いた本。JCLのDraftsmanshipを知れるかな、と思ったのですが、少し難しかったです。今度絵を描くときに参考に……してみます。

アクセス:Amazon

📙『黄金期のアメリカンイラストレーター』津神久三著,1993 (絶版)

11人のイラストレーターの生涯をまとめた本。著者が画家とのことで、絵の描かれ方に関する所感を知ることができる。しかし1996年初版の本であり、現在の視点から見ると同性愛や女性に無神経に思える文章もある。それぞれの章の参考文献が記されており、JCLの章は4冊;Meyer著『America’s Great Illustrators』、Tebbel&Zuckerman著『The Magazine in America 1741-1990』、Rockwell著『Ay Adventures as an Illustrator』、Schau著『J.C.Leyendecker』。

アクセス:図書館

📕『America’s Great Illustrators』Meyer著,1982 (絶版)


本文にも書いてあるけどほぼショウ著とロックウェル著のまとめなので、それを読んでいたら優先度低め。兄弟関係にフォーカスした語り口。ロックウェルのチャールズビーチ悪口が「ヴィクトリア朝風メロドラマ」と遠回しに揶揄されている。あとフランクの死亡年が間違ってます。

アクセス:デジタルアーカイブ図書館

📕『High art joins popular culture_ the life and cover art of J.C. Leyendecker』Lindsay Anne Moroney著, 2004

JCLのポスターのアートとしての立ち位置がしれて良かったです。

アクセス:W&M ScholarWorks (オープンアクセス)

📕『How to Make It as a Mainstream Magazine Illustrator; or, J. C. Leyendecker and Norman Rockwell Go to War』Jennifer A. Greenhill著, 2018

色んな出典から多角的にJCLとノーマンロックウェルを分析していてすごく良かったです。

アクセス:The University of Chicago Press Journals

📕『Outlaw Marriage; The Hidden Histories of Fifteen Extraordinary Same-Sex Couples』Rodger Streitmatter著, 2012

チャールズビーチとJCLの関係にフォーカスされててすごく良かった。

アクセス:Amazon(Kindleのみ)

📕『Fashioning the American Man: The Arrow Collar Man, 1907–1931』Carole Turbin著, 2002

付け襟及びシャツの立ち位置の歴史……といった感じでJCLはそこまで大きくは関わってこなかった。

アクセス:Wiley Online Library

📕『Joseph Christian Leyendecker: 225 Golden Age Illustrations』Daniel and Denise Ankele, 2014

画集だけれどCutler とはまた違う作品が入っていたりする。

アクセス:Amazon(Kindleのみ)

📕『J C & F X Leyendecker Price and Identification Guide』The Illustrator Collectors News著, 2013

アクセス:Amazon(Kindleのみ)

📕📙『アメリカン・イラストレーション展カタログ』福島県立美術館著, 1993 (絶版)

よかったです。

アクセス:古本

📕New York Times』December 27, 1998, [The Father of the New Year’s Baby] Gary Kriss著

SchauのインタビューやJCLの従妹の言葉が載っており、新しい情報を色々知れてよかった。

アクセス:NYTにサブスク

📕New York Times』August 14, 1951, [‘Model’ Inherits $30,000]

チャールズビーチの相続を伝える短い記事。

アクセス:NYTにサブスク

📕New York Times』July 2016, 1951, [J.C.Leyendecker, Noted Artist, 77]

JCLの死亡記事。

アクセス:NYTにサブスク

📕New York Times』September 16, 1951 [Artist’s Home Offered]

チャールズビーチが屋敷を売る旨の記事。

アクセス:NYTにサブスク

📕New York Times』November 29, 1964 [Advertising: Arrow Seeking a New Image]

アローカラーの新しいイメージ広告を募集する宣伝。

アクセス:NYTにサブスク

📕『Gay Blades: Homoerotic Content in J.C. Leyendecker’s Gillette Advertising Images』
Richard Martin著, 1995

Gilletteの広告についての論考。

📕『The J. C. Leyendecker Collection: American Illustrators Poster Book』Kent Steine著, 1995

習作がたくさん載っていて楽しかった。

アクセス:図書館

📕『Coded Desire in 1920’s Advertising』David B Boyce, 2000

アクセス:TheFreeLibrary

📕『Artists, advertising, and the borders of art』Michele Helene Bogart著, 1995

アクセス:Internet Archive

📕『Posters; a critical study of the development of poster design in continental Europe, England and America』Charles Matlack Price著, 1913

バリバリ当時の本なのでJCLとFXLが「ライエンデッカー兄弟」として評されていて良かった。

アクセス:Archive

📕『house & garden』July 1918

なんとマウントトムロード邸の中の写真がたくさんあり、内壁が金色だったことが判明しました。FXLの写真もあります。

アクセス:Archive

📕📙『The Standard-Star』[Still Handsome, He Burns Sketches That Made Him] Ed Wallace著, 1951

めちゃめちゃ良かった。Haggin美術館に展示されています。

アクセス:Haggin美術館

ノーマンロックウェルを知る

📕『My Life as an Illustrator』Norman Rockwell著, 1960 (絶版)

一つ一つのエピソードが濃く、とても面白いです。9章はまるまるJCLの話をしています(全20章)。ただしCutler及びSchauが指摘しているように、その記述には不審な点も多く、上記2冊のどちらかを読んでから読むのがいいでしょう。特にチャールズ・ビーチに関する記述は話半分に読んだ方がいいかもしれません。

アクセス:東京外国語大学図書館米Amazon

📕『Norman Rockwell 332 Magazine Covers』Christopher Finch著, 1991

イラストがまとめて眺められてよかった。マテリアルとしての本は手のひらサイズで、ただしKindleも発売されています。

アクセス:米Amazon

📙『ノーマン・ロックウェル 1894−1978 アメリカで最も愛される画家』Karal Ann Marling著, 2007

アクセス:古本

📕『Norman Rockwell’s people』Susan E Meyer著, 1981

JCLに関する言及は二箇所(Page17, Page31)しかないんですが、すごく面白かったです。ロックウェルの人生を彼のイラストのモデルについて言及しながら振り返る構成。

アクセス:デジタルアーカイブ図書館

📕📙『JCL to Rockwell on April 22, 1945, acc. no. ST.1976.20030.4.8, NRM Archives

JCLからロックウェルへの手紙。

アクセス:Norman Rockwell Archives (このサイトに邦訳あります)

当時の文化について知る

📕『New World Coming, The 1920s and the Making of Modern America』Nathan Miller著, 2004

テキサス・ガイナンについて知ろうと思い、ガイナン関連の項目をつまみ読みしました。文化史的な立ち位置で、フィッツジェラルドについてもヘビーめに書いてある。

アクセス:デジタルアーカイブ図書館

📕『The Sexual Perspective; homosexuality and art in the last 100 years in the west』Emmanuel Cooper著, 1986

JCLの箇所はSchauの本から重く引いているので、優先度高くは読まなくてもいいかな。

アクセス:図書館

📙『アメリカ歴史地図』マーティン・ギルバート著, 2003

禁酒法が適応された年が州によって違うんですが、それが一面でわかってよかった。

アクセス:図書館

📙『密造酒の歴史』ケビン・R・コザー著, 2018

密造酒の歴史です。20年代にできたカクテルとかがわかるよ。

アクセス:図書館

📕『A pictorial history of the silent screen』Daniel Blum著, 1974

Reed Howesがアロー・カラー・マンとして記載されてます。バリモアやニールハミルトンなど他のアローカラーマンの写真もたくさん見られるので楽しいです。

アクセス:デジタルアーカイブ図書館

📙『オンリー・イエスタデイ―1920年代・アメリカ』Frederick Lewis Allen著, 藤久 ミネ訳 1993

1930年代に書かれた1920年代に関する本。すごく面白かったです。

アクセス:古本

📕📙『複製技術時代の芸術』

コールズ・フィリプスについて知る

📕『Fadeaway: The remarkable imaginary of Coles Phillips』Scott M. Fisher著, 2019

コールズ・フィリプスのイラストが掲載されている。パンフレットのような感じで安いが、文章はほとんどない。

アクセス:米Amazon(2,000円)

📕『All-American Girl』Michael Schau著, 1975 (絶版)

コールズ・フィリプスについて知りたい場合は避けれない本。上記『J.C. Leyendecker』と同じ作者で、フィリプスの葬式でJCLが何を言ったかなどが記載されている。しかしCutler著にも引用されているので、コールズ・フィリプスに特に興味がない場合は優先度は低め。

アクセス:古本

📕New York Times』June 14, 1927 [C.Coles Phillips, Illustrator, Dead]

上記の言葉について、おそらくここが初出です。

アクセス:NYTにサブスク

📕New York Times』June 15, 1927 [Services for C.Coles Phillips]

葬式の案内。

アクセス:NYTにサブスク

📕New York TimesDecember 15, 1928 [Coles Phillips Left an Estate of $13,345]

コールズの残した農園について。

アクセス:NYTにサブスク

📕『Flip, Linger, Glide: Coles Phillips and the Movements of Magazine Pictures』

F.S.フィッツジェラルドについて知る

F. スコット. フィッツジェラルド(以下FSF)を調べた理由の詳細は別記事に記載してあります。

📕『The Great Gatsby』F. Scott Fitzgerald著, 1925

言わずと知れたギャツビー、腹を決めて英語で読みました。2021に著作権切れたおかげか、適当にググって読めたので。

📙『美しく呪われた人たち』F. Scott Fitzgerald著, 上岡伸雄訳, 2019

FSFの女性やPOCに関する偏見が読み取りやすかったです。

📙『楽園のこちら側』F. Scott Fitzgerald著, 朝比奈武訳, 2016

面白かったです。ビアトリスが好きでした。最後までエイモリーくんは良いキャラだった。

📕『The Saturday Evening Post』2 March 1929, [The Last of the Belles] F. Scott Fitzgerald著

この長さで短編って言うのか〜。

📙『ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック』村上春樹著, 2007

面白かったです。

📙『『グレート・ギャツビー』の世界』宮脇俊文著, 2013

よかった。

 

インターネットサーフィン

最初はインターネットで色々調べていました。JCLは引っ越しが多い上、アトリエと自宅の二箇所住所があるため、著者が適当に調べた記事だと大体間違って書かれていることが多いです。

国立アメリカンイラストレーション美術館

Michael Schau著を参考にしているのか、チャールズが出会ったのが1901年。

J.C. Leyendecker: A Retrospective

JCLが偽装結婚事件を起こしたのは「ビーチが同性愛を理由にJCLを脅したから」と書かれてるが、これはSchauのインタビューによると思われる。

What Maketh a Man

SchauとCutlerどちらも読んで書かれたらしき記事。

The Carlton (Albemarle) Hotel — No. 205 West 54th Street

Club 300の所在地に関する記事。

Norman Rockwell and His Mentor, J.C. Leyendecker

ノーマン・ロックウェルとの関わり。

The Secret Life of the Arrow Collar Man, an Early 20th-Century Sex Symbol

Vogueの記事。FXLについても描かれている。

アメリカ合衆国特許商標庁THE ARROW COLLAR MAN

アローカラーの商標が死んでいるのを確認できます。

The Arrow Collar Man, Early 20th Century Icon

PVH社のアローカラーの紹介ページ。シンプルなまとめ文だけど、こういうのが公式であると嬉しくなりますね。

メトロポリタン美術館 コレクション検索結果

ART RENEWAL CENTER

良質な画像がたくさんある、非営利のオンライン美術館

ARTCYCLOPEDIA

百科事典で、情報がよくまとまっています。 

タイトルとURLをコピーしました